大きめの独り言

わたしの脳みそのはしっこです

ある日の晩に

言葉は文脈やシーンの中で規定される。さらに言えば受け取り手の心理状態によっても大きく変わる。

 

私は尾崎豊さんの曲が好きだ。一番好きな曲を決めるのは難しいが、その中でも「僕が僕であるために」という曲が好きだ。

 

この曲の中で「優しさを口にすれば、人は皆傷ついていく」という一節がある。この傷ついていく人は誰なのだろうか。口にした本人なのだろうか。それとも口にされた第二者なのだろうか。

 

いつだったか少し長く人と話をした。その人との人間関係は深いものではなかった。その日まで少ししか話したことはなかった。しかしある日を境に関係が大きく変わった。

 

私はその人に最大限の優しさを込めた話をしたつもりだった。でもその人は泣いていた。私の言葉はその人の心の隙間に入り込み、その人が自覚できていような小さな傷を抉り傷口を広げてしまったのだ。

 

私の言葉がその人の傷つけていると感じた時、私の心にも悲しさが広がった。

 

私は今まで、優しさを口にして傷つくのは言葉を発せられた人間だと思っていた。でもそれは少し違った。言葉が意図せず相手の傷口を抉った時、お互いに傷つくこともある。

 

人の心は複雑だ。昨日ふと思い出した昔の思い出話だ。特にきっかけがあったわけではない。